2020 中央大学 法学部 通信教育課程 GUIDE BOOK
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瀬川 一真さん2008年4月、中大通教に入学。2012年3月卒業。その後、電子機器メーカー米国法人において勤務中にWashington,D.C.弁護士資格取得。 2018年10月米国駐在期間を終え、帰国。日本法人において勤務。所属は法務部。 電子機器メーカー米国法人の法務部に駐在勤務しながら米国の弁護士資格を取得しました。ワールドワイドに拠点を有する企業の本社法務部に所属するという立場上、契約・訴訟・M&Aをはじめとして、対象業務は広範にわたるといえます。 出資案件のように特に重要な契約を結ぶ場合などは、事業担当者と一緒に契約先の社長や創業者に会い、相手方を知る段階から始めます。事実を正確に把握するためにも必要となるこの過程において、当事者の真の意向を理解したとき、そもそも契約の内容がその意向に沿っていないことに気付くこともあります。そこで、「なぜそのような意向や要望が生まれるのか?」「開発・販売の実態はどの位のレベルなのか?」などを理解したうえで、当社の要望との調整を図った交渉を重ね、契約書に反映させていきます。 対話を重ねることにより相手方との信頼関係を構築し、率直な意見交換を行えるようになることもあります。このような取り組みを通じ、契約の締結という一つの目標に到達したときの達成感は大きいといえます。さらに、その契約を基礎として新たな製品が生まれ市場に出ていく過程までの全てを法的側面からサポートすることは企業の法務部で仕事をするからこそ経験できる醍醐味であると感じています。 中大通教における単位の修得などの過程において、自ら法令・学説などを丹念に調査したうえで自分の理解に基づいた言葉で表現できる力が付いたと思います。それは、通学課程の学生と比較すると担当教授からのアドバイスを受ける機会がどうしても限定的になりがちといった事情も影響しているかも知れませんが、結果として、自立した学習力の醸成につながっていると認識しています。納得のいくまで論理的な解決を目指す力は、中大通教を卒業した後の米国ロースクールにおける学習または書籍の執筆などにおいても非常に役立っていますし、今後も私を支えてくれるものとなるでしょう。 「法律を学ぶ」ということは、法律を基礎としつつ、社会制度・経済環境・政治的背景といった社会全体について学ぶことでもあるといえると思います。そしてそのような過程の反復は、法律自体の理解を通じた専門性の向上のみでなく、ある事象を広い視野で捉え検討する力をも向上させるものであると理解しています。 今後、特定の法務業務に関しては、米国において第一線で活躍する米国弁護士とそん色ない水準を目指し、そのうえで、米国のロースクールと日本の教育機関の連携または日本の公的機関の活動などに少しでもお役に立てればと思っています。卒業生 INTERVIEWMY PURPOSE G対話を重ねて契約を結ぶ中大通教で学んだこと29

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