2017 中央大学 法学部 通信教育課程 GUIDEBOOK
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Message法律を学びたいと願う多様なニーズに、広く門戸を開いています。猪股 孝史Takashi Inomata通信教育部長法学部教授21世紀を迎えるにあたり、わが国は司法制度改革を断行しました。その成果に、裁判員裁判制度の創設や法曹養成のための法科大学院の開設などがあることはご承知のとおりです。司法制度改革の背景には、規制緩和に向けた動きと歩調を合わせ、従来のややもすると過剰で不透明な行政指導に依存していた「事前指導・規制型の社会」から、司法制度のもつセーフティ・ネットである公正な法的救済に重点をおいた「事後監視・救済型の社会」への転換という、わが国における大きな潮流をみてとることができます。そうして、法の支配をわが国の隅々にまで行き渡らせ、誰もが安心して行動できる公正で自由な社会を実現させることが期待されているのであり、その意味で21世紀は「司法の世紀」とでも呼ぶことができるでしょう。法制度のしくみとその役割を受け止めつつ、その根底にあるものを理解し、より良い社会を築きあげていくことが、「司法の世紀」に生きる自立した国民にとって、その責務として求められているということに思い至るならば、法律学の学習は単に条文の精密な解釈や裁判例の理解だけにとどまるものではないということに青森県出身。1983年本学法学部卒業。1985年本学大学院法学研究科民事法専攻修士課程修了。1989年本学大学院博士後期課程単位取得満期退学。放送大学専任講師、桐蔭横浜大学法科大学院(法務研究科)教授等を経て、2010年より本学法学部教授。2013年11年より通信教育部長に就任。専攻は民事訴訟法。もまた容易に気づくでしょう。法は、社会の一つの規範でありルールであることは確かですが、その社会は生きた人間の日々の営みによって形づくられている以上、法を学ぶことは深い洞察をもって社会や人間のありようを学ぶことでもあるはずだからです。本課程で学んでいる学生数は、現在3,500人ほどです。そして、そのうちの半数以上が働きながら学んでいる学生の皆さんです。法律学の深奥を探求したい、各種資格試験のための準備をしたい、職業上の武器として法律の専門的知識や知見を得たい、あるいは生涯学習の一環として法を学んでみたいなど、その動機はさまざまですが、本課程はそうした多様なニーズに応えることができるように多彩なプログラムを提供し、また、通信教育での困難を少しでも軽減すべく学習環境を整備し、拡充していくよう努めています。始めるのに遅すぎることはありません。大学教育の門戸は、いつでも広く開かれています。「司法の世紀」に生きる皆さんには、伝統ある法科の中央で法を学び、そして社会や人間のありようを学んでいただきたいと願っています。49

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